塾講師、本人にやる気がない生徒に3年間振り回されるも、その後、教える、為に必要なことを、彼から全て学んだ話

塾講師、本人にやる気がない生徒に3年間振り回されるも、その後、教える、為に必要なことを、彼から全て学んだ話

【性別】男性
【年齢】(仕事が大変だった当時)
32歳

【当時の職業】
アルバイト

【当時の住まい】
実家の一軒家で親と同居していました。

【その仕事はまだ続けてる?もう辞めた?】
転職して、違う業種で働いている





【就職のきっかけと経緯】
求人広告の塾講師募集、の一文を見て応募したのがきっかけです。
当時は正社員職での仕事を探していましたが、学生時代に家庭教師などで、人に何かを教える仕事、その魅力を思い出し、塾講師の仕事をスタートしました。

【環境と仕事内容】
小学生の私立中学受験講座、算数、理科を担当しました。
講師は10名前後、自身は2年目から担当クラスを持ち、3年目から保護者面談や、受験日当日の生徒フォロー、時にはチラシ配りや入塾希望者への対応も経験しました。
中学受験は親の意向が強く、成績面での不安を抱える声を、送り迎えの際によく耳にしました。
勤務時間は夏休みなどの期間を除き、夕方16時頃から22時頃まででした。
時給は1500円スタート、最終2000円前後だったと記憶しています。

【大変だった時期】
働き始めて半年ほどは、授業準備が大変でした。




【大変だったこと】
生徒にやる気を出させること、それが講師に必須とされていた点が大変でした。
生徒本人が受験を希望している、はっきりとした目標を持っている子は稀で、ほとんどが親希望の受験者でした。
その為、生徒と個別面談する時間を作ったり、日々の宿題チェックのコメントで励ましたり、自習参加への促しをしたりしました。
授業に専念する、というより、生徒の意欲、成長をサポートする、ということに重きを置く職場だったため、その点を理解するまで苦労したのを覚えています。
私自身、中学受験経験者ではなかったため、一から授業する内容を勉強し、授業準備をしていたことも、当時大きな負担になっていたことも思い出しました。
特に、夏休みには、夏期講習があり、ほぼ毎日、朝9時頃から夜22時頃まで勤務が続き、その帰宅後に翌日の授業準備をする、という、非常にハードな職場だったように思います。

【大変だった期間】
仕事を始めてから1年半ほど続きました。




【当時の心境】
出勤前は、今日の授業でどこまで上手く伝えられるだろうか、という不安と期待が入り混じった心境で、帰宅時には、もっと上手くできたんじゃないか、という反省を重ねる日々だったように思います。
ただ幸いにも周囲には教育熱心な講師先生方が多くいらっしゃったため、いつか自分もあんな風になりたい、と思いながら、それを糧に過ごしていました。

【職場が大変だった原因】
自身の知識不足、力不足はあったと思います。
講師の教育システム、あるいは授業構築のサポート体制など、特に新人講師のサポートについては、他のやり方があったのではないか、と思います。
正直、新人時代に、これは丸投げされたな、と感じる場面もありました。




【仕事で良かったこと】
今まで解けなかった問題が解けるようになりました、という生徒の声を聞くことが一番のやりがいでした。
それ以外にも、宿題を普段やりきれない生徒が、なんとか最後の問題までチャレンジして、得意気にノートを見せてくれた時には、とても嬉しかった記憶があります。




【特にひどかった最悪の出来事】
普段なかなか手を焼く、地頭は悪くないのに努力を嫌がる生徒がいました。
授業では新しいことを教えても、すらすら人一倍早く習得していくのに、復習をしない、宿題をしてこない生徒でした。
その生徒は5年生までは成績がトップクラスでしたが、6年生になると下がり始め、志望校もランクを下げることになりました。
それでも、やるべきことをやる、それすらも避ける性格は変わらず、結果、受験に失敗し、公立中学校に通うことになりました。
その生徒より、もっと気になる生徒がいたから、というのは言い訳でしかなく、自分がどんなに嫌われることがあったとしても、より厳しく、こつこつと努力すること、継続することの大切さを教えることができていれば、と強く後悔したことを今も覚えています。




【相談した人・助けてくれた人】
塾長には困った時、悩んだ時にはいつも相談していました。
常に目をかけ、自分を信頼し仕事を任せてくれていたと思います。
先生のあの例え面白いですね、今度真似してみます、と自分の授業を覗いたあと、塾長が褒めてくださったのが自信に繋がったこともありました。

【改善のための行動】
生徒のやる気を引き出す、その為に、職場の講師で一番、宿題チェック、コメント返しを丁寧に実践しました。
担当授業のない土曜日曜も出勤し、自習に参加している生徒のフォローもしていた記憶があります。
ただそれでも、成績の伸び悩む生徒が多く、これ以上どうしたらいいのだろうか、と悩み続けていた気がします。




【現在の状況と心境の変化】
当時からは10年近く経ち、今は塾講師とは別の仕事についています。
正直、人に何かを教える、というのは、個別と集団では全く違うものだな、という風に感じています。
そして、教える、ということは、教えることそのものについて、人が思っている何倍も何倍も熟知していて初めて、それができるものなのだな、と今は痛感しています。

【学んだこと】
教える、という行為は、そのものをまず知り、理解し、習得し、他者に伝えられる形になるまで吟味し、相手がそれを必要だ、学びたい、と心を開いた時にはじめて、伝えることが大切だ、ということを学びました。



【当時の自分へのアドバイス】
先ずは、寝る間を惜しんででも、徹底的に問題を解くことが大事です。
ただ問題を解くのではなく、より早く正確に、より楽に直感的に、解けないか、と自問自答しながら。
一つではなく、二つ三つ、別の解き方はないのか、別の覚え方はないのか、これがベストなのか、という選択、選別の時間を作ることも大事です。
そして、散らかった思考を一つにまとめて、相手に伝わりやすい形になるまで吟味して、はじめて、授業準備完了となるのです。